以前書いた「何が本当に怖いのかわからない話」で触れたが、80年代、香港に仕事の関係で滞在していた時、いろいろな心霊現象で悩まされたことがあった。それは、あるマンションに引っ越してきた時のことだった。その頃、日本もバブル景気の最終段階に来た頃で、香港も結構マンションの賃貸価格が急激に跳ね上がり、手頃な引越し物件を探すのにも苦労したのであるが、その物件はその利便性が高い場所にも関わらず格安で、即効に決断した所だった。
最初に異変に気づいたのは、そこを警備している人たちがやたらと変わるのだ。あとでわかったのは、なぜかそこの警備員の数名が短期間のうちに次々と急死したとのことであった。またある時などは、朝早く通勤しようとしていると早い時間にもかかわらず、近所で人が集まっている。何かと思ったら、ある人が飛び降り自殺したとのことであった。
引っ越して最初こそ平穏であったのだが、おかしなことが起こり始める。まず出かける前、テーブルに本とペンを置いて出かけたのであるが、帰って来たらその間誰も触っていなかったのにも関わらず、本とペンの位置が入れ替わっている。その時は単なる勘違いと思った。しかし何度も起こるのだ。またある時は部屋の換気もない密室の場所にも関わらず風が吹いたりする。それも最初は建物の構造の関係かと思った。そしてまたある時は夜やたらとうなされてベットで寝ていたにも関わらず、無意識にいつの間にがリビングのソファーで寝ている。まるで夢遊病者のようだが、最近疲れていて、精神が病んでいるのかと思った。その他いろいろ諸々の怪奇現象が起こるのだが、全て気のせいとか自分の精神が病んでいるのかと疑っていた。
そしてあまりにもひどいため、香港の現地のいろいろな人に相談すると、ある友人が自分が使っている風水師がいるから相談したらとのアドバイスをくれた。藁をもすがる気持ちでその風水師にマンションを見てもらったのだが、大丈夫だという。ただ、これこれの位置にこれをお置きなさいというアドバイスをくれただけであった。まあそれでおさまるかと思っていたのだが、逆にますます怪奇現象が頻繁に起こるようになる。後日、その風水師を紹介してくれた人が大丈夫かと心配げに話してきた。実はあの後、その風水師と会う機会があり、あの友人宅はどうだっかと聞いたそうであるが、「とんでもない所だった」と言ったそうだ。「あそこには悪霊が居着いている。」



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