本末転倒

海外

まだWindows3.1が標準であった頃、シンガポールに仕事関係でいたので、海外にいながらわざわざ日本の有料の「パソコン通信」なんかもしたくないから、その時初めてインターネットをやってみようということになった。日本で一般に普及する前で、普通はみんな前述したニフティなどのいわゆる「パソコン通信」をやっていた頃である。
当時はまだ遅い電話回線で、「ピーピー」という音とともに繋いで色々と見てみた感想だが・・・その時はまだ「なんだこりゃ?」の世界であった。
ようやく文字だけの世界から解放したブラウザー、「Netscape Navigator」が登場したばかりで、ここから文字だけではなく絵や写真や音などを世界に配信できるという世界になったというのも始めた理由だったのだが、現実は訳のわからない理系的なホームページばかりで、とにかくホームページは数々出てきたのであるが、全く面白くもなく興味がないものばかりであった。
せっかく色々できるようになったのにその特質を生かせないのかと思っていたが、日々だんだんといわゆる趣味の関係やアダルト的なサイトが出てきてその類の人たちで賑わいを見せてきたようであった。
当時、「HENTAI」というワードがあり、何かと思ったら、どこでどう勘違いされたか単なるアニメで「HENTAI」が”ccol”とか今では訳がわからない現象が起きていたが、逆に言えば海外に日本のアニメファンがいるということをその時知った。まあ90年代の最初くらいまではまだある意味今の巨大な市場化した「コミケ」ですらマイナーで日本ですら一般に市民権をそこまで得てない頃だった。
結局、アダルト的なものや趣味的なものはその世界を発展させる基になるものだとつくづく思った。(そのインターネットの前身もそうでその歴史もまた面白いのであるがそれはまた別の機会に。)

時間と共に色々追って見ていくうちに海外の新聞社が次々とホームページを立ち上げ、新聞記事を配信し始めた。当時はまだ記事自体無料でそれぞれの国の会社が、まだ実験段階であった。
その頃はまだyahooなどの検索サイトもないので、どうやってその中でもそのような有益なホームページに行けば良いのかもわからず、手探りで集めた海外の新聞会社のホームページなどを国別に取集していった。
当時は「持ちつ持たれつ」の世界で他人から有益な情報をいただくと同時にこちらも貢献しようとやっていた時代だったので、自分でもホームページを立ち上げようということになり、どうしてもわからないことはネットの先駆者達にメールをして教えてもらって、その海外の新聞のリンク集を立ち上げた。その頃はまだ、そのリンクする先にいちいち「リンクしてもいいですか」という許可のメールを出してリンクした。そのうち、Yahooなどの検索サイトも登場した。その時は、「うちの検索サイトに登録させてやるよ」とか「お金を払ったら上位に検索するようにしてやるよ」の世界ではなく、「すみませんがあなたのホームページを検索サイトに載せてもよろしいですか?」の世界だった。

結局その時思ったのは、いかに新しい技術ができても、いかにそれを利用する方が有益に分かりやすく利用できるかであって、革新ありきで新しい技術を開発して行っても製作者の自己満足で終わって突き進んでもそれは逆に進歩を後退させることであった。
あくまでも個人的に思うことだが、インターネットの最初の段階で日本勢は意外に革新的なことをやっていてたのにも関わらず結局日本の会社自体は技術的なことに終始したりやるにも会社自体の決済が降りにくいことや、訳のわからないルールを押し付けてくる日本独特の変な倫理観を持つ余計なお節介人間の妨害やあくまで個人の趣味レベルの孤独な戦いをしていた人たちで、みるみるうちに団体や企業でネットワークを作っていった海外勢が全て抑えていった印象であった。

今、色々な会社でこれからはサスティナブルな世界だのなんだのと言いながら、分かりにくい言葉を採用することによって物事を分かりにくくしていって、またITがどうのこうの人工知能がどうのこうのはいいし、そのために一般の会社も「これからはさらにIT関係に力を入れなくては」は確かに正しいのだが、最近海外の会社など見てもおかしなことをよく聞くことが増えた。
コロナ禍もあってITに力を入れたのはいいのだが、やたらシステムを変えてきてごちゃごちゃになっているという印象になってきている。現実自分の身の回りでも、アプリなどで銀行やらポイント関係やらを管理していると、いきなり銀行のサイトが大幅に変更になって逆に分かりにくくなったり、間違えやすくなったり、ポイントや優待など突然全部なくなって、「システムが変わりました」とか言ってくる会社まで出てくる始末だ。どうやらIT関係で「余計なこと」に力を入れているようだ。
本来は強固なセキュリティの確立やわかりやすさの方が大切なのだが、それではそういう業界の人たちが「商売にならない」のであろう。また技術的に彼らの重要なことは違うということもある。以前、前のサイトで「Windows Vista」について書いたが、あの時のある意味の失敗が今度はいろんな企業に出てくるような気がしてならない。

コロナ渦も後押ししてITの発展と共に効率的で便利な社会になるどころか本末転倒で、逆に効率が一層悪い社会に成り下がりはじめている気がしてならない。一体どうなることやら。

 

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